フィリピン ハゲ ちゃびん日記

フィリピーナと結婚し、1女を設けてしまい。フィリピンに滞在すること事を決意。既に、数年を経過。。。フィリピンから見た日本そして、日本人から見たフィリピン。何が正しく、何が間違いなのか、混沌する世界をさておき、ひたすらに、文化の違いに悪戦苦闘する日々を綴る

非効率のススメ

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https://mainichi.jp/articles/20171127/dde/012/070/003000c
(毎日新聞より)

高学歴やプロフェッショナルな外国人が「働きたい国」に選ぶ順位で、日本はアジア11カ国中ビリ、世界の63カ国の中でも51位、という、がっかりな結果が出た。

 

と始まる記事を見ました。確かに、日々刻一刻と成長していくアジアの中で、日本は何か立ち止まったまま、何の解決策も見出せず、呆然と滑り落ちていくような感覚に陥りそうになります。前記事でも書きましたが、同じ土俵で、勝負していても意味がないのです。(勝ち目はないのです。)

 発想は全く変えていかなければ、ならないと個人的には思います。むしろ、旧然として得意分野である効率化や、トヨタイズムに代表される、徹底的なムダを排除した生産システムは日本ではなく、アジア各国が必要としているマネージメントシステムであり、今後日本を考えた時には、私は全く逆だと思っています。

日本は80%が内需で支えられた経済だと言われ、現在の低成長社会も労働者の賃金が低下したことによる、市場の収縮が日本経済への大きな打撃となった結果と言われることが昨今の通説です。

前記事では、フィリピン側から見た視点で、「日本こうすれば良いのにな〜」という個人的感想を羅列致しましたが、では日本で日本市場を相手にしている方々は黙って、グロバリゼーションに抗う事なく、没していく事しかないのでしょうか?

 

私はそうは思いません。

今、日本は、少なくてもフィリピンと比較すれば、極限まで効率化された、極端に合理性を追求した世界と言えます。それは、まるでボクサーのように体脂肪を絞り込み、下手したら死を覚悟しなければならないほど、このシワ寄せは末端で働く、各産業の現場の人間に行くのです。それは1〜2次産業のみならず、サービス産業にも起きて数年が経ってしまっているのです。フィリピンではマクドナルドのレジに各2名立っているのですが、それでも間違えが起きます。が日本では下手すれば、2台のレジに一人で対応するオペレーションが普通に見受けられます。(何と、献身的な労働者なのでしょう。)とても、小さな事象ですが、単純に言えばそういう事です。それでも、採算が合わないとなってしまっています。

分かりやすく、言うとそういう事なのです。今、効率的なマネージメントを欲しているのは、現在乗りに乗っているアジア諸国で、日本のように研ぎ澄まされたボクサー体型の方に、鞭打ってダイエットをする事を強要してしまえば、結果的に弱くなるだけです。そこで戦っても、勝ち目はないですし、もうそこは日本の土俵ではない事を自覚しなければいけません。元々の体脂肪率(余力)が違います。

だからこそ、前記事では、日本企業の経営陣の怠慢が、現在の日本の低成長を原因だと言い切ってしまいました。(色々とご意見はあるかと思いますが。。。)

例えば、友人に日本の包丁をメキシコで販売している方がいます、私が尊敬する人物の一人ですが、かれは砥石で和包丁を研ぎ、お客さんの持ってきた包丁も研いであげます。最初は番手の少ない砥石から始まり、仕上がりに近づくにつれ、番手をあげていきます。最後は、京都でしか取れない天然砥石(何万円もするらしいです、そして日本でしか取れないとは、素材がない意味ではなく、他国では探していないの意味です。)でまるで鏡面のように仕上げてあげるそうです。今や、もっと便利なものは沢山あるし、安くて性能の良い通販で売っているような包丁は沢山あるのでしょう。それでも、あえて高価な和包丁を買い、メンテナンスをしに彼の店にやってくるのです。

効率とは逆の、物に纏わる「物語」を売るのです。Story[物語]、が全ての商品や、経験(サービス産業の場合)に付随する背景を売るのです。こんな人達が、こんな材料を使い、こんな場所で、あんな物が出来上がったり、それが新たな価値を産み、新たな市場を作るのです。それを説明するには、「こんな人達」をブランディングしなければいけません、「こんな材料」は素晴らしいです、「こんな場所」は非常に意味や意義が伴い、「あんな物」は一見同じ物でも、まるで違う価値を産むのです。

つまり、今、多くの日本の企業がやっている事は真逆です、今まで見えなかった部分の背景にお金をかけ、そこを見えるようにプロモーションしていくという事です、今の一般的な会社の考える効率化の逆です。

私自身、タカタのエアーバックや、無資格者の点検等の数々の大企業の失態の全ての原因はここにあると思うのです、無理やりボクサーにダイエットを強要する行為です。今は、彼らがさらに強くなれるよう、設備投資(人的にも)をするべき時なのです。価格とは違う、新たな価値の創出、それができない大企業は、今後も、勝ち目の無い戦いを繰り返し、人を不幸にし、失態を犯し続けるのでしょう。